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2023年度 2学期始業式 高校校長訓話

おはようございます。2学期の始業式にあたり話をします。

あっという間の夏休み期間が過ぎていき、2学期の始業式を迎えました。それぞれの夏休みはいかがだったでしょうか?今年の夏休みも悲劇的な暑さが長く続いたこともあり、その意味では、むしろ時間が長く感じられた人も多かったかもしれません。しかし今年は勉強合宿やキャンプなども積極的に行われ、自主的に学校に来て特別講座や自学に取り組んでいる人たちも多く見られ、暑い中でも部活動に取り組む様子や試合やコンクールでの活躍の報告などを数多く聞くことができました。復活した海外短期留学のプログラムも無事に終了し、それぞれが今後に活きる貴重な経験を得ることができたものと思います。皆さん一人ひとりが体調に気を配りながら、暑さに負けることなく充実した夏休みを過ごしてくれたことがわかる数多くの報告を見聞きすることができて、本当に嬉しく思います。

ぜひこの夏休みに感じたこと、経験したこと、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、それら全てを自分自身の大切な「今」として、「未来」の糧にするという気概を持ってください。1学期の文化祭の経験は、よい体育祭を作り上げる上でかけがえのない支えとなります。サマーキャンプ・学習合宿や校外学習の経験は、有意義な研修旅行の実現に向けて大切な土台となります。海外短期留学のプログラムの経験は、今後のものの見方や考え方に大いなる影響を与えます。猛暑の中取り組んだ部活動の経験は、今後実りの秋を迎える上で必ず大いなる糧となります。暑い中頑張ってきたそれらの貴重な経験の中で感じたこと、触れたこと、楽しかったことや悔しかったことなど、この機会に全てをしっかりと振り返り、「今」の自分の原動力にすべく正面から向き合ってください。そしてアドレナリン全開でこの2学期を元気に駆け抜けてくれることを期待しています。

ところで皆さん、アドレナリンと言えば、昨年のこのタイミングで、皆さんにアドレナリンの話をしたのを覚えていますか? … アドレナリンとは副腎髄質から分泌されるホルモン物質であり、戦うか逃げるかの反応において重要な役割を担います。血中に放出されると心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度(血糖値)を上げる作用などがあり、勝負どころにおいて、自分でも信じられないぐらいの力を産み出す原動力であると言われています。皆さんにはこのアドレナリンを意識的に出す方法があることを伝えたのですが覚えていますか? … アドレナリンは、場面によって勝手に出たり出なかったりするものというイメージがあるかもしれませんが、実は意識的に出す方法もあるそうです。いくつかあるようですが、本日は、前回お伝えした、いつでもどこでも心がけ次第で誰もができる3つを改めて念押ししておきます。

1つ目は、「何事にも達成できるかどうか際どいラインの目標を設定して取り組む。そしてそれを周囲に公言する」ということです。簡単すぎず、難しすぎない目標を設定して、それに向けて取り組んでいる時間は基本的にアドレナリンがよく分泌されて、よい高揚感のもとで取り組むことができるようです。かなわないと感じるような難しい目標をかなえたい場合も、あきらめるのではなくて、まずその目標に向けて、「難しいけどできるかもしれないこと」の集まりになるように分解して、それぞれを課題として設定してください。まさにPMTMですよね…。そして、それを周囲に知ってもらうことで、さらに緊張感とともに自身のアドレナリンスイッチも入るようです。まさにPMTMの提出や発表ですよね…。

2つ目は、「何事もゲーム感をもつように工夫する」ということです。皆さんはゲームが好きですか? … 先ほどの話ともリンクしますが、簡単すぎず、かといって難しすぎて対応不可能というわけでもないようなゲームには、より没頭すると思います。そういう時にはアドレナリンがよく出るようです。ゲームは、それぞれの世界観と段階の中で、短期的・中期的・長期的に目標・目的が散りばめられていて、そもそもその構図が私たちの目標達成欲求を促すものです。ぜひ皆さんの学習や部活動の具体的な取り組みの中にも、競争や報酬、あるいは段階的に目標を設定するといった、ある種ゲーム感を感じられるようなファクターを組み込んでみてください。

3つ目は、「何かを始める際に声を出す」ということです。大きな声を出すことは、意識的なアドレナリンの出し方です。試合前に大きな声で掛け声をすることで、士気が高まり、緊張感が高まり、アドレナリンが分泌され、いつも以上の力を発揮することができるようにもなります。またカラオケなどで大きな声で歌うと高揚感が高まってきますよね。カラオケで思いっきり歌った後にスッキリするのも、アドレナリンの効果だといわれています。つまり、カラオケ自体もアドレナリンの意識的な出し方の一つであるということになるようです。あとここで強調したいのは、1学期の終業式で皆さんに伝えた「挨拶」の大切さです。今日という節目の日に改めて強調しておきます。皆さんもぜひ誰かに出会ったとき、何かを始めるとき、何かを終えるとき…そういう大切な節目で、しっかりと声を出す、つまり挨拶するということを心がけてください。相手からの評価や礼儀という観点はもちろん、自分自身の心を開放して、アドレナリンを生み出して、日々の瞬間の大きな原動力にするという観点でも、自分自身のためにそれは大切にしてほしいと思います。少なくとも、家庭や地元や、そしてこの須磨学園では、集うみんなが大切な存在であるはずです。元気なときはもちろん、少ししんどいとき、少し気分が乗らないとき…そんなときでも、誰かと出会えば自然と気持ちのよい挨拶が交わされる… 須磨学園がそのような清々しい心がけとアドレナリンが溢れる場所となることを期待しています。

さて高校3年生の皆さん、暑さに負けずにたくさん頑張った時間、その中で感じた達成感も充実感も、ともすれば無力感や不安なども…すべては今後の大いなる支えになります。この夏に頑張ったこと、耐えてきたことが実を結ぶのはもっと先です。涼しく、寒く感じられるような季節には、失敗も含めてこの夏の取り組みの全てが実を結ぶと思います。そういうものです。言いかえれば、まだ今は暑い夏が終わっていません。すぐに成果が見えなくとも、うまくいかなかった感覚しかなくても、落ち込む必要はありません。目標としていた弱点の克服ができていないと感じたり、E判定で落ち込んだりするよりも、その結果や状況にはもっと向き合うべき価値がひそんでいます。柔軟な思考でその状況に向き合えば、逆にそのネガティブな部分が突破口になることもよくあります。そのためには、先生方をたくさん頼って、自分では気づきにくいたくさんの観点に触れることです。ぜひパワースポットの番人である須磨学園の先生方からたくさんのパワーをもらってください。

さあ全校生の皆さん、今日からスタートした2学期は、1学期以上に動きのある学期です。体育祭や研修旅行、そして芸術鑑賞会など、様々な学校行事が控えています。ここから秋や冬の訪れを感じるまでの期間についても、引き続き感染症や暑さ、そして自然災害などに警戒しながら、さらに多角的な判断や行動が求められる日々となると思います。そのような日々の中で、皆さんが、真に効果的な目標を設定して、自らの取り組みの中にゲームのように楽しい感覚で取り組むことができるような工夫を取り入れて、そしてしかるべきところでしっかりと声を出して元気に挨拶をする、そんなアドレナリン全開でこの2学期を明るく元気に駆け抜けてくれることを心から期待しています。それでは全員で実りのある2学期にしましょう。

2023年9月1日 高校校長  堀井 雅幸